吉田 俊一医師に聞く
フレイル予防と地域のつながり
フレイル予防との出会い
フレイル予防に関わるようになったきっかけを教えてください。
きっかけは二つあります。一つは日常の診療の中で感じた疑問、もう一つは、自分自身も年相応になってきたと感じたことです。
救急搬送されてくる患者さんの中には、高齢であること以上に体力が著しく低下している方もいらっしゃいます。「もう少し体力を維持できる生活を送っていただけていたら」と感じることがありました。
そんなときに、東京大学高齢社会総合研究機構のフレイル予防活動を知りました。地域に向けた活動だけでなく、自分自身もフレイル予防を意識しなければならないと思うようになりました。
さらに、高齢者大学で福祉を学ばれた「フレンズあかし」の皆さんとともに、行政の担当の方々に働きかけ、2023年10月に開催された飯島勝矢教授によるフレイル予防特別講演会をきっかけに、明石市でのフレイル予防活動が始まりました。
吉田 俊一 医師
明石医療センター 消化器内科部長
フレイルは健康と要介護の中間の状態です
早めに気づいて適切に対応することで、健康な状態へ戻れる可能性があります。
フレイルの3つの特徴
- 健康な状態と要介護状態の中間にある
- 身体・心や認知・人とのつながりなど、多面的な要因がある
- 適切に対応することで、健康な状態へ戻れる可能性がある
フレイルを
さらに詳しく知る
そもそもフレイルとは、どのような状態なのでしょうか?
フレイルとは、年齢を重ねることで心や体の働きが弱くなり、日常生活や自立した活動が難しくなって、要介護に近い状態になっていくことをいいます。健康で自立した状態と要介護状態との中間の状態です。
筋力や体力の低下といった身体面だけでなく、気力の低下などの心・認知面、さらに人とのつながりや社会参加といった社会的な面を含む、さまざまな要因があります。
適切に対応することで健康な状態へ戻れる可能性があることも、フレイルの大きな特徴です。
01
中間の状態
健康な状態と要介護状態の間にあります。
02
多面的な要因
身体・心や認知・人とのつながりが関係します。
03
戻れる可能性
早めに気づき、できることから取り組むことが大切です。
予防や改善ができる理由
フレイルは予防や改善ができるのでしょうか?
フレイルは、健康な状態から要介護状態へと一方通行で進むものではありません。適切な対応を行うことで、健康な状態へ戻ることができる「可逆性」があることが大きな特徴です。
フレイル予防の三本柱は、「栄養・お口の健康」「身体活動・運動」「人とのつながり・社会参加」です。三つをバランスよく続けることが大切です。
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栄養・お口の健康
バランスのよい食事を
しっかりととる -
身体活動・運動
日常生活の中で
適度な運動を続ける -
人とのつながり
地域との交流や
社会参加を続ける
日常の変化に気づく
早く気づくために、日常生活で見ておきたいサインはありますか?
はい。フレイルのサインは、特別な検査だけでなく、日常生活の中に現れることがあります。普段と少し違う変化に気づくことが、早めに生活を見直すきっかけになります。
特に見ておきたいのは、体重、気持ち、動き、外出や握力の変化です。次のようなサインがないか、いつもの様子と比べながら確認してみてください。
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体重の変化
普段通りに生活しているのに、体重が減ってきた
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気持ちの変化
何かをするのがおっくう/楽しめていたことに興味がわかない
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動きの変化
思わぬところでつまずく/転びそうになる
「年のせいだから」と片付けず、変化に気づいたら、ぜひ意識してみてください。
フレイルチェックで
分かること
フレイルチェックでは、どのようなことが分かりますか?
私たちは、東京大学高齢社会総合研究機構が開発した「簡易チェック」と「深掘りチェック」を、フレイルチェックとして実施しています。
簡易チェック
簡易チェックでは、「指輪っかテスト」と「イレブン・チェック(質問票)」を行います。
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指輪っかテスト
両手の親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲んで、ふくらはぎの筋肉量を簡単に確認します。
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イレブン・チェック
栄養・お口・運動・社会参加・こころに関する11項目の質問から、今の生活を振り返ります。
深掘りチェック
人とのつながりなどについての質問票と、お口・身体の詳しい測定を行います。
- 噛む力
- 滑舌
- 片足立ち上がり
- 握力
- ふくらはぎ周囲長
- 体組成計による手足の筋肉量
これらの測定を通して、お口の機能や筋力、筋肉量を確認します。
簡単な質問や測定から、今の状態を確認します
食事・運動・社会参加
食事・運動・社会参加の中で、特に大切にしてほしいことはありますか?
フレイル予防の三本柱である「食事・口腔」「身体活動・運動」「人とのつながり・社会参加」は、互いに深く関係しており、どれも欠かせない大切な要素です。
そのうえで、あえて一つ挙げるなら、人とのつながりを大切にし、継続してほしいと思います。人とのつながりが弱くなることが、フレイルへ進んでいく“ドミノ倒し”の最初の一歩になることが分かってきています。
人とのつながりを保つことが、外出・運動・食事など、毎日の活動を続けるきっかけにもなります。
三つの柱を、できることからバランスよく続けることが大切です。
気づきのきっかけを、住みなれた地域で。
身近な地域で
チェックする意味
地域の身近な場所でフレイルチェックを行う意味を教えてください。
フレイルは高齢期に現れるさまざまな変化ですが、その要因の一つとして人とのつながりの減少が大きく関係しています。そのため、フレイルに気づいたとしても、一人だけで改善することは簡単ではありません。
地域の身近な場所でフレイルチェック会を行い、人と交流しながら自分の心や体の状態を知り、自分自身の課題として改善方法を考え、みんなで継続して取り組むことが大切です。
地域で支える人
フレイルサポーター
フレイルチェック会の運営やフレイル予防活動を、地域で支えています。
家族にできるサポート
家族ができるサポートには、どのようなものがありますか?
よく聞くのが、「夫が定年退職後に家にこもりがちになり、テレビばかり見ている」というご相談です。
趣味や興味を持てるものがあればよいのですが、いきなり「家から出て運動してきなさい」と言われても、なかなか難しいものです。何か役割を持てるようにしたり、興味を持って続けられることを一緒に見つけたりすることが大切だと思います。
地域のサロンや体操教室、ボランティア活動に参加してみるのもよいでしょう。お住まいの近くで「フレイルチェック会」が開催される際は、ぜひ気軽に参加してみてください。
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役割を一緒に見つける
本人が無理なく続けられる、家庭や地域での役割を考えてみましょう。
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興味を大切にする
好きなことや関心のあることから、続けやすい活動を探してみましょう。
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地域へ出かけてみる
サロンや体操教室、ボランティア活動も身近な選択肢です。
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チェック会に参加する
今の状態を知るきっかけとして、近くの開催情報を確認してみましょう。
ひとりで抱え込まず、できることから始めましょう。
